費用・収益の繰延べと見越し、訂正仕訳

費用の繰延べ

事務所や店舗の家賃の費用を支払った場合、それが前払いであったとしても支払家賃(費用) として仕訳する。しかし、決算日において前払いした家賃のうち次期に持ち越す分があれば、その分を支払家賃(費用)から前払家賃(資産)に振替えなければいけない(簿記には費用収益対応の原則があり、当期に使った分の費用のみを当期に計上すべきとされている。これがなかったら費用を永遠に前払いし続ければ、利益を帳消しにすることもできるからである)。

このように、当期に支払った費用のうち、次期分を当期の費用から差し引くことを費用の繰延べという。

⇒この前払家賃とされた分は、翌期首において決算時にした仕訳の逆仕訳(借方と貸方の科目・金額を全く逆にした仕訳)を行う。これを再振替仕訳といい、時期に持ち越された前払家賃を支払家賃にしている。

⇒支払家賃(費用)で説明したが、他の費用も同様である。

⇒収益も同様で、相手科目は前受収益(負債)で仕訳する。

費用の見越し

銀行からお金を借りたとき返済時に利息を返済するが、利息は返済時にかかるのではなく、お金を借りている間は常に発生している。そのため、返済が次期であるときは当期に発生した利息が仕訳されず、費用収益対応の原則からすればおかしくなる。そのため、発生しているであろう支払利息を見越して計上する。このとき支払利息の相手科目は、未払利息(負債)である。

このように、当期の費用にもかかわらず支払いがされていない分を、当期の費用として計上することを費用の見越しという。

⇒費用の繰延べと同様、翌期首において再振替仕訳をする。

⇒支払利息(費用)で説明したが、他の費用も同様である。

⇒収益も同様で、相手科目は未収収益(資産)で仕訳する。

費用・収益の処理

経過勘定

繰延べ

費用

減らす

前払○○(資産)

収益

前受××(負債)

見越し

費用

増やす

未払○○(負債)

収益

未収××(資産)

費用の繰延べの仕訳

×年8月1日 事務所の家賃120円(1年分)を、小切手を振り出して支払った。

借方(左側)

貸方(右側)

費用の発生

資産の減少

支払家賃

120

当座預金

120

12月31日 決算日(当期:×1年1月1日~12月31日)につき次期の家賃を繰り延べる。なお、当店は8月1日に家賃120円分支払っている。

⇒8月1日~12月31日は5カ月分で、残り7カ月分残っている。

⇒1月分の家賃=120円÷12月=10円⇒7カ月分=70円

借方(左側)

貸方(右側)

資産の増加

費用の減少

前払家賃

70

支払家賃

70

×2年1月1日 期首につき、前期末に繰り延べた支払家賃70円の再振替仕訳を行う。

借方(左側)

貸方(右側)

費用の増加

資産の増加

支払家賃

70

前払家賃

70

収益の繰延べの仕訳

×1年10月1日 土地を貸し、地代240円(1年分)を小切手で受け取った。

借方(左側)

貸方(右側)

資産の増加

収益の発生

現金

240

受取地代

240

12月31日決算日(当期;×1年1月1日~12月31日)につき

次期分の地代を繰り延べる。なお、当店は10月1日に地代240円(1年分)を受け取っている。

⇒10月1日~12月31日は3カ月分で、残り9カ月分残っている。

⇒1月分の地代=240円÷12月=20円⇒9カ月分=180円

借方(左側)

貸方(右側)

収益の減少

負債の増加

受取地代

180

前受地代

180

×2年1月1日 期首につき、前期末に繰り延べた受取地代180円の再振替仕訳を行う。

借方(左側)

貸方(右側)

負債の減少

収益の増加

前受地代

180

受取地代

180

費用の見越しの仕訳

×1年9月1日 当店は銀行から借入期間1年、年利率2%、利息は返済時に支払うという条件で、現金600円を借り入れた。

借方(左側)

貸方(右側)

資産の増加

負債の増加

現金

600

借入金

600

×1年12月31日決算日(当期:×1年1月1日~12月31日)につき、当期分の利息を見越計上する。なお、当店は、9月1日に銀行から、借入期間1年、年利率2%、利息は返済時に支払うという条件で、現金600円を借り入れている。

⇒9月1日~12月31日の4カ月分、すでに借りている。

⇒4カ月分の利息=600円×0.02×4カ月÷12月=4円

借方(左側)

貸方(右側)

費用の発生

負債の増加

支払利息

4

未払利息

4

×2年1月1日 期首につき、前期末に見越した未払利息4円の再振替仕訳を行う。

借方(左側)

貸方(右側)

負債の減少

費用の減少

未払利息

4

支払利息

4

収益の見越しの仕訳

×1年11月1日 当店は、貸付期間1年、年利率3%、利息は返済時に受け取るという条件で現金800円を貸し付けた。

借方(左側)

貸方(右側)

資産の増加

資産の減少

貸付金

800

現金

800

×1年12月31日決算日(当期:×1年1月1日~12月31日)につき、当期分の利息を見越計上する。なお、当店は、11月1日に、貸付期間1年、年利率3%、利息は返済時に受け取るという条件で、現金800円を借り入れている。

⇒11月1日~12月31日の2カ月分、すでに貸している。

⇒2カ月分の利息=800円×0.03×2カ月÷12月=4円

借方(左側)

貸方(右側)

資産の増加

収益の発生

未収利息

4

受取利息

4

×2年1月1日 期首につき、前期末に見越した受取利息4円の再振替仕訳を行う。

借方(左側)

貸方(右側)

収益の減少

資産の減少

受取利息

4

未収利息

4

訂正仕訳

誤った仕訳をしていたときは、これを訂正しなければならないが、誤った仕訳を消すことはしてはいけない。これは、もし消してしまうと、仕訳がされた後に仕訳をもとに作られた総勘定元帳や補助簿等も全て修正しなければならず、面倒だからである。

そこで訂正仕訳という正しい仕訳になるように、修正する仕訳を新しくする。

①誤った仕訳、正しい仕訳を考える。

②誤った仕訳の取消の仕訳をする(取消の仕訳は、逆仕訳)

③正しい仕訳と誤った仕訳の取消の仕訳を足したものが訂正仕訳

例えば、以下であるとき

借方(左側)

貸方(右側)

正しい仕訳

買掛金

100

現金

100

誤った仕訳

仕入

100

現金

100

誤った仕訳の取消の仕訳をする(取消の仕訳は、逆仕訳)

借方(左側)

貸方(右側)

正しい仕訳

買掛金

100

現金

100

誤った仕訳

仕入

100

現金

100

取消の仕訳

現金

100

仕入

100

ゆえに訂正仕訳は、

借方(左側)

貸方(右側)

正しい仕訳

買掛金

100

現金

100

取消の仕訳

現金

100

仕入

100

借方(左側)

貸方(右側)

訂正仕訳

買掛金

100

仕入

100

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